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SAP株価分析:なぜ急落したのか?

目次

SAPの株価はなぜ急落したのか?

『OUT-STANDER』による現状分析

SAPのリスクスコア
OUT-STANDERスコア基準

『OUT-STANDER』の算出結果:
・スコア:86(不安定)
・3/23(候補日)に向かって下落の勢いが加速中。
・現状、株価の底値が見えない状況。

5つの詳細な指標

(1)リスクに対するリターン

SAPの株価リターン推移

・年換算で45.7%の下落。(市場に対して53.9%の劣位)
・市場との共通要因で8.2%上昇。しかし個別株の要因で45.7%下落。

(2)最大下落率

SAPの最大下落率

・最大下落幅:▲33.9%(×)
 段々と落ち込みが深くなり続けている。

(3)感応度

SAPの感応度と説明係数

・市場との相関は、直近で更に低くなって8%。
 なので、感応度の数字には意味がない。

(4)ボラティリティ

SAPのボラティリティ

・2025年はボラティリティは低かった。

・しかし、1月以降にバラツキ具合も急拡大。
 (下落傾向でボラティリティ拡大≒急落。)

(5)信用取引の状況

SAPの信用取引の状況


・機関投資家内での空売り比率が70%を超える営業日も1月から2月で複数回。
 (浮動株に対する空売り比率はわずか0.2%)

・ヘッジ目的でのプットオプションの購入や
 マーケットメーカーによるヘッジが非常に盛んだった。

1月以降に急落した理由

前提:
セールスフォースの最高値は、2025年7月6日。
5か月以上、下落傾向。

(1)2026年1月:機関投資家が決算発表前に機械的にプットオプションを購入。
(2)1/29に決算発表。内容は良かったが、ボラティリティが急拡大。
(3)2/3のClaudeショックも加わったことで、
   出来高は減っているのに空売り比率は高いまま。
   (買いが少な過ぎるから)
⬇︎
現物売りが約定しにくくなっているので株価が急落している

ゆえに、
◽️ 現在状況の結論

SAPのリスクスコア

『OUT-STANDER』の算出結果
・スコア:86(不安定)
・3/23(候補日)に向かって下落の勢いが加速中。
・現状、株価の底値が見えない状況。

SAPの理論株価

SAPの
時価は価値に比べて、

妥当(▲7.7%)

以下、
理由、、、

株価の定量分析

【株価=EPS(1株当たり純利益)× PER(株価収益率)】

SAPの
EPS(1株当たり純利益)は、

+9.3% / 年

SAPのEPS推移

なお、
EPSの成長の99%が当期利益の増加が要因。

SAPのEPS内訳

なので、
もしPER(株価収益率)の方が一定だとしたら、
SAPの株価は上昇する。

そして、
SAPのPER(株価収益率)は、
期間全体で見た場合は、

+3.5%。

SAPのPER推移

なお、

PER(株価収益率)の変動に
最も大きな影響があるのは、
ROE(自己資本利益率)。

SAPの
ROE(自己資本利益率)は、
期間全体だと、

+3.2% / 年

SAPのROE推移

ROEの構成要因は、
・7割が当期利益率
・残り3割がその他(総資産回転率と財務レバレッジ)

SAPのROE内訳

ROE(自己資本利益率)が伸びているのであれば、
PER(株価収益率)の上昇傾向も合理的。

なので
株価傾向に関しては、

・EPS(1株当たり当期利益):+ 9.3% / 年

・PER(株価収益率)    :+ 3.5% / 年
⬇︎
・株価          :+12.8% / 年

SAPの適正なPERは?

適正PERの算出:
FCF(フリーキャッシュフロー)モデルで算出した後に
配当モデルの方で検証する。

まずは、
FCF(フリーキャッシュフロー)の方
適正なPERを算出。

SAPのFCF推移

前提1:
【企業価値=FCF÷(割引率−成長率)】

前提2:
顧客企業(特に大企業)にとってソフトの切替費用は非常に大きい

(組織上の課題)
1位:意思決定のリスク
   (切り替えが失敗したら誰が責任を取るのか。「SAPのままなら誰も責められない」という心理)

2位:業務フローの変更リスク
   (SAPの財務会計システムに合わせて業務フローを構築している)


(技術・運用面の課題)
3位:蓄積データの移行リスク
   (数十年分の取引データがSAP形式で蓄積。移行の技術的難易度と欠損リスクが高い。)

4位:カスタム開発の全損
   (独自改良が多いほど「そのカスタマイズを別システムで再現する」コストが高くなる。)

5位:外部連携の再構築
   (生産・物流・会計など多数の連携が存在し、全部の連携し直しが必要。)

SAPのスイッチングコスト

なので、
SAPのソフト解約率は非常に低い。

ただし、
SAPは1位級ではあるもののシェアは6.6%。
既存顧客の継続率は高いが、市場での影響力は限定的。

ERP業界のシェア

シェアの大きさの違いが
SAPとセールスフォースのFCFの伸びの差になっている。
(セールスフォースのシェアは20%超で、2位の4倍)

FCF比較(SAPとセールスフォース)

前提3:SWOT分析

・強み:導入した企業の切り替えが非常に困難。
・弱み:収益29%のオンプレミスの保守料金を業者が半額で提供
・機会:オンプレの顧客がクラウドに移行した場合に客単価が2倍以上に。
・脅威:顧客の一部がクラウドに移行しなかった場合、保守料金が消滅する。

SAPのSWOT分析

要するに、
SAPにとっての最大の脅威は、

△:10年後にAIエージェントに代替されているリスク
◎:既存顧客の一部が27年末でもクラウドに移行しないリスク

よって、
SAPの成長率は
今後も、2.5%が永続で想定。

SAPのFCF推移予測

結果
適正PERは、

30.3倍

なお、
FCFモデルで算出した適正PER30.3倍を
配当モデルで検証した場合、
ROEが12.5%(過去平均)となるので整合的。

(59%を還元しているので、還元は5.1%成長。
41%を再成長資金として内部留保しているので
FCF成長率は2.5%)

SAPの総還元金の推移予測

結論:現在の株価は「妥当」

SAP株の価値は、

・価値:$216.12
・時価:$199.48

妥当(▲7.7%)

以上、
「SAP:株価分析」
でした。

あなたのとても貴重な時間にて
文章を最後までお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

白坂 慎太郎

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この記事を書いた人

白坂慎太郎(STAR SOLEIL PTE. LTD. CEO / シンガポール在住)
不確実性の高い市場で戦い続ける起業家としての経験を経て、シンガポールにてSTAR SOLEIL PTE. LTD.を設立。独自のAIクオンツ分析により、多忙な経営者や専門職の方々が自らの判断で市場を捉えるための高度な分析インフラを提供している。

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