ServiceNowの株価はなぜ急落したのか?
『OUT-STANDER』による現状分析


『OUT-STANDER』の算出結果:
・スコア:86(不安定)
・4/8(候補日)に向かって下落の勢いが加速中。
・現状、株価の底値が見えない状況。
5つの詳細な指標
(1)リスクに対するリターン

・年換算で54.5%の下落。市場に対して60.7%の劣位。
(市場が上昇している期間に、個別株の要因で下落している。)
(2)最大下落率

・最大下落幅:▲47.7%(×)
段々と落ち込みが深くなり続けている。
(3)感応度

・市場との相関は、直近で6%。
・個別株の理由だけで変動しているので、
市場との感応度の数字には意味がない。
(4)ボラティリティ

・中期で42%。短期で45%。
・ボラティリティは大きい。
・12月に垂直的に急上昇した。
(5)私設取引所(機関投資家)の状況

・空売り比率は50%未満で推移している日が多い。
12月以降に急落した理由
前提:
・ServiceNowの最高値は、2024年12月。
2025年7月以降、5か月間は下落傾向
(1)12月に買収ラッシュが報道された後に公表された。
・ServiceNowの現CEOは、SAPのCEO時代にも多くの買収をしている。
(2)1月以降に各社アナリストによる格下げ連鎖。
(3)2/3のClaudeショックでボラティリティが急拡大。
⬇︎
・現物売りが約定しにくくなっているので株価が急落している
ゆえに、
◽️ 現在状況の結論

『OUT-STANDER』の算出結果:
・スコア:86(不安定)
・4/8(候補日)に向かって下落の勢いが加速中。
・現状、株価の底値が見えない状況。
ServiceNowの価値と時価の比較
ServiceNowの
時価は価値に比べて、
割高(+14.1%)
以下、
理由、、、
ServiceNowの理論株価は?
FCF(フリーキャッシュフロー)モデルで算出する。
【企業価値=FCF÷(割引率−成長率)】

ServiceNowのFCFは右肩上がりで成長。
ただし、注意すべき点がある。
すなわち、
FCFの38%を、自社株買いに充てている。
そして、自社株買いの金額も急増している。

であれば、
自社株買いをしている分で、
EPS(1株当たり当期利益)には
プラス影響であるはずなのだが、
実際は、マイナス影響。

すなわち、
社員への株式報酬 > 自社株買い
社員に収益の18%に相当する株式報酬を支払っている。
株式報酬は会計上は費用なので、営業利益のマイナス要因。
そして、当期利益は収益の14%。
要するに、
ServiceNowは、
社員への株式報酬 > 株主にとっての分配原資である当期利益
リスクを取って投資をしている株主よりも、
社員の方が圧倒的な有利な報酬体系になっている。
このような状況は、ServiceNowだけではない。
セールスフォースやワークデイなど
他のSaaS企業にも似たような傾向は見られる。
ただ、今回のServiceNowは、
自社株買いでは補えないほど
社員へ株式報酬を出している。
だから、SaaS企業は、
会計基準ではない、非会計基準としての
利益を説明する傾向がある。
非GAAP利益の罠
たとえば、
「株式報酬は現金の支出を伴っていないので、
非会計基準での利益だと、〇〇ドルとなっております。」
しかし、
そもそも会計基準が、人による解釈。
投資家に有利なように現金の動きよりも
投資しやすい解釈で会計基準を作った。
対して、
非会計基準なる別の解釈を持ち出せば、
今度は、経営陣や社員に有利な解釈になる。
リスクを取って投資をしている投資家には
株の希薄化が追加されるのに対して、
リスクを取らずに業務を行なっている経営陣や社員は
基本給とは別で多額の株式報酬を受け取れている。
要するに、
経営陣が非会計基準なるものを打ち出していて、
なおかつ、株主が承認しているとしたら、
その企業には、株主が企業を統治するという
ガバナンスが機能していない
もちろん、
社員に多額の株式報酬が支払われていたとしても、
企業にとっての重要指標である流通総額や収益が
高成長している間は黙認されやすい。
たとえば、SaaS企業であれば、
ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)などが
高成長を続けている間は、株式市場からの
期待(PER:株価収益率)も急激に伸びるので、
株の希薄化リスク < 株価上昇
リスクを取って投資をしている株主も
企業の高成長における恩恵を受けられるので、
カバナンスの機能不全も黙認されやすい。
しかし、
いざ、中核サービスの成長が鈍化し始めると、
企業は、いつのまにか、顧客数やARR(年間経常収益)など
KPI(主要な業績指標)を開示しなくなる。
代わりに、説明され始めるのが
非会計原則における経営陣による解釈上の利益。
たとえば、
「のれんの減損は、現金の支出を伴っていないので費用から除外します。」
「無形資産の償却も、現金の支出を伴っていないので費用から除外します。」
「株式報酬に関しても、現金の支出を伴っていないので費用から除外します。」など。
しかし、
のれんの減損や無形資産の償却が発生しているのは、
純資産よりも割高で買収しているからであって、
高い買収金額という現金支出を伴っている。
そして、株式報酬に関しては、
本来であれば現金で支払うべき報酬を、
代わりに株で支払っているのであって
人件費という費用そのもの。
たとえ株で社員に報酬を支払ったことで
現金支出がなかったとしても、
株の希薄化を防ぐために企業のお金で
多額の自社株買いをしなければならないのであれば
結局、株で報酬を払った分の現金は企業の外に出て行っている。

財務会計上で本当の優良企業であれば、
経営陣は、わざわざ非会計基準における
解釈上の利益など説明する必要はない。
堂々と、
損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の
3つを投資家に見てもらえば良い、だけ。
そして、
当期利益・EPS・ROEなど、世界共通の物差しで
企業価値を測ってもらえば良いだけ。
そうすれば、
優良企業は、
・営業CF≒営業利益
・FCF ≒ 税引後営業利益
になっている。
優良企業であれば・あるほど、
財務会計がシンプル。
対して、
FCFの金額と税引後の営業利益との間に
大きな金額の乖離がある場合、
(ServiceNowの場合は、多額の株式報酬が乖離の原因)
財務会計上で、弱みが存在している
要するに、
ServiceNowの場合、企業価値の算出に
FCFの数字を、そのままは使えない。
昨年実績だと、FCFの38%に当たる
実質的な人件費が控除される前の数字では、
精密な企業価値は算出できない。
まして、
昨年2025年には、多角化とも解釈される
買収ラッシュを行なっているServiceNowの場合であれば、
尚更、本業のITSM(情報サービスの管理)の成長は
慎重に判断した方が無難。
情報サービス管理は、SaaSの中でも市場規模が小さい。

ServiceNow:
・強み:顧客のソフト切替費用が異常に高い
≒弱み:他社にソフトを自社ソフトに切替えてもらうのが難しい
↓
・中核サービスの伸びが鈍化したSaaS企業は
M&A(合併・買収)に走りやすい

要するに、
ServiceNowの場合、FCFの数字から
多額の株式報酬という実質の費用分も控除した上で
企業価値を出す必要がある。
結論:現在の株価は「割高」
ServiceNow株の価値は、
・価値:$ 99
・時価:$113
割高(+14.1%)
なお、
リスクまで考慮した場合での
市場(オルカン)との相対効率では、
ServiceNow 対 市場
▲0.46 < 1.00
以上、
「ServiceNow:株価分析」
でした。
あなたのとても貴重な時間にて
文章を最後までお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。
白坂 慎太郎
